column
石井みどり
今日は、石井みどりさんのお別れの会だった。
お葬式とかにまったく出ないわけではないのだけれど
黒い服が気に入らなくて、隅田川沿いの桜の樹下で独り御悔みをした。
94歳で亡くなられたが最後まで現役というのはダンサーらしい。
石井漠の相手役として抜擢。というキャリア自体が今の人には理解できないかもしれない。
暗黒舞踏の源流にあたる人。
例えば今も活躍している暗黒舞踏の石井満隆さんのキャリアは、『ダンスを石井漠のもとで始め、1961年の≪土方巽DANCE EXPERIENCEの会≫に参加して、暗黒舞踏を始めた。』という感じで、名前の石井を石井漠さんからもらっているのだと思う。
石井みどりさんも本名は折田ハナさん。石井みどりさんはヴァイオリニストの折田泉さんと結婚、独立して舞踊団を率いた。戦争中は前線にまで慰問に出かけ、戦後も56年から7年間、1万回以上の慰問公演を行った。
慰問の話しは良く、みどり先生から伺っていた。明日、敵陣に総攻撃(負けるのを覚悟の)をかける兵隊さんの前で踊った話しをよくされていた。
華のあるスターで、アサヒグラフなどのグラビアを飾ったりもしていた。川端康成からラブレターをもらったという噂があって、その話しを打ち上げなどでもちかけると、顔を真っ赤にされていたのが、今でも心に残っている。
優れた踊り手の業績が、あっという間に忘れ去られるのは、悲しい昨今の現実で、中村歌右衛門さんも、歌舞伎的に何かもっとあっても良いのではないかと思うが……たとえば昔のフィルムを歌舞伎座でかけて、追悼でいろいろするとか……。ぜひ石井みどりさんも何か後世に具体的に伝えられるものを催して欲しいと願う。
昨日は、風が強く、嵐のような日だったが、嵐君は世の中のいろいろとまったく関係がない風にのんびりとやんちゃに、ますます女の子らしくなく育っている。
update2008/04/03