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夜想#バンパイア

『ベルセルク』14 三浦健太郎 yasoヴァンパイア+

吸血鬼はスラブの民間俗説があり
バイロンの名を騙った『吸血鬼』があって舞台へ展開し
ストーカー『ドラキュラ』がある。

yaso本紙にも繰り返し書かれているように
ストーカーの『ドラキュラ』は15世紀ルーマニア地方、ワラキア国のヴラド3世をモデルにしている。
ドラクルという別称をもっていた。ドラキュラはそこから来ている。

ヴラドには吸血鬼の噂も事実もない。ただ幽閉された時代のトルコ軍の風習を逆手にとって敵兵を串刺しにして晒したということはある。
少ない軍勢でトルコ軍を西欧世界に入れないように戦っていた、ある種の英雄である。
非常に興味深い武将であるので、もっとたくさんの映画や小説があっても良いと思う。できればストーカーの『ドラキュラ』と切り離して単独で描いてもらいたい。

『ベルセルク』を読んでいてヴラドに似ているなと思っていたが、14巻の巻末に原型となる三浦健太郎19歳のときの作品が収録されていて、ここにブラド大公が登場する。ベルセルクはそのブラド大公に敵対するのだが、ヴラドの影はベルセルクに少なからず影響を及ぼしている。
『ベルセルク』には妖怪がたくさん出てくるが、当時のワラキア地方にも妖怪が跋扈していたかもしれない。少なくてもヨーロッパの人たちは、辺境の地方にそんなイメージを持っていたに違いない。その妄想がストーカーの『ドラキュラ』を世界標準の原型にしたてあげたのだろう。

update2007/12/29