小島文美
ビスに入ると花の匂いに包まれる。もとベルト・コンベアが敷いてあった階段は、小島さんに贈られた花が満載されている。
不思議なチャームのある絵、魅力のある人。ここには何かの起点がある。
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悪魔城ドラキュラ「月下の夜想曲」の絵の通りにGacktがコスプレをした。そして「月下の夜想曲」という曲が生まれた。いくつかの懐胎ポイントがあり、分水嶺もあったろうが、そのひとつは間違いなく、この絵にある。展覧会が終わればまたコナミに帰っていくし、権利関係があるので、写真は載せられないが、今、ビスに居る、この絵、そしてゲームのキャラクターを描いた、あるいは本の表紙を飾った絵が、何かのはじまりになったのだ。毎日、見ていて、そしてたくさんの人が見ている様子からそれが分ってきた。
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もう一つの魅力は、夜想でも語ったことだが、男性度の強い、キャラクターなのに小島さんの絵が使われたことだ。使われて位相が擦れはじめた。おそらく女性が悪魔城ドラキュラのシリーズをプレイすることになっただろう。この変移を起す力があったということだ。
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しかし変移は男性性から女性性への転換というようなダイレクトなものではない。どこかに乱暴な男たちが生き残る、あるいはやんちゃができる隙間が残っている。ゴスという黒いものとロリという白いものを融合することと、この不可思議な合一性は似ているところがある。