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『ドラキュラ血のしたたり』(1971)ハマー・フィルム

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『ドラキュラ血のしたたり』(1971)
双子の姉妹、マリアとフリーダのスチール写真を見て反応する人は多い。双子には何かしらの神秘性がある。

双子の姉妹は、メアリー・コリンソンとマドレーヌ・コリンソン。『プレイボーイ』1970年10月のはじめての双子のプレイメイト。ハマーらしいお色気のために起用され、文脈なく下着を脱がされたりしている。フリーダは奔放で、吸血鬼のカルンシュタインに惹かれて吸血鬼にされてしまう。マリアは貞淑で真面目である。
16世紀の英国が舞台で、幕開けからいきなり魔女狩りがはじまる。清教徒のグスタフ(ピーター・カッシング)が魔女狩りを行っている。吸血鬼の物語がはじまるまえに、グスタフの魔女狩りがあって、それが吸血鬼狩りにオーバーラップしていく。魔女狩りに証拠があるはずもないのと同じように、吸血鬼らしいとなると火炙りにしよとする。姪のマリアをフリーダと間違えて火炙り寸前にまで追い込む。
グスタフは妻に「あなたは何も分っていないわ。殴るの?」「分らない。罰は必要だ。私がどんな気持ちで…」とグスタフが言うとこんどは妻が「分らないわ」と返す。権威をかさにきた男性的な強引さにここではっと気づくグスタフ。
昔の英国の感じがでていて面白い。ピーター・カッシングは実際にも敬虔なクリスチャンで、グスタフの役柄を真摯に演じていて、ともすればエロス+ホラーだけになってしまいそうな展開を、下支えしている。
『ドラキュラ血のしたたり』(1971)は、『ヴァンパイア・ラバーズ』『恐怖の吸血美女』というハマーの『カーミラ』(シェリダン・レ・ファニュ)を原作にする3本目のフィルムであるが、もちろん物語は踏襲していない。カルンシュタインという名前が使われているくらいのことである。