『幻想小品集』 嶽本野ばら
ドライフラワーにしていた3年前の薔薇の葉が全部おちて、
薔薇の杖ができたとメールがとどいた。薔薇の杖か…。
『幻想小品集』 嶽本野ばら フェティッシュ+
ゴスロリは、次第に分化をとげている。甘ロリ、ロリ・パンクとか。
そして思うのは、本家のゴスロリも変化するのではと思う。
変化というのではないかもしれない。
ゴスロリというファッションのもとに隠していた別の本性を顕にするというころだ。
嶽本野ばらの作品にも変化が見られる。『幻想小品集』にそれが如実にあらわれている。小説がゴスロリの変化を助長するのか、それとも変化を反映したものなのか今は、判断がつかない。
嶽本野ばらは『幻想小品集』でフェティッシュを+した。フェティッシュは、ゴシックがゴスになったように昔のフェティッシュとは大分異る。もちろん嶽本野ばらのフェティッシュはゴスロリのすぐ側で変化をとげた方のフェティッシュだ。フェティッシュのエクスタシー。麻痺と覚醒がテーマとして描かれている。
形式は幻想小説だが、その幻想小説のテーマや形態もまた泉鏡花や澁澤龍彦とは異っている。幻想文学で、嶽本野ばらが踏襲しているのは、体験が重要で、体験からいかにジャンプをかけるかという作家の書く態度である。多くの幻想文学の作家が、そうではないと言うのと同じように、嶽本野ばらは言うかもしれないが、体験と現実が重要だ。
だから薬…という結論にはならない。嶽本野ばらは、ドラッグの作法をフェティッシュに描いている。どんなドラッグを、どんな風にというようなドラッグのフェティッシュなのだ。飲んで酔っぱらって書く幻想じゃない。もちろんそんな幻想の作家は存在しないが。ドラッグフェチとしての幻想小説だ。
この小説には睡眠導入剤などのドラッグの話がでてくる。yasoの前身の2マイナスが詳細な特集を出している。今は、所持もおそらく記述もまずいだろう合法ドラッグや睡眠導入剤などの詳細が特集されている。
『幻想小品集』には、夜想『耽美』に掲載された作品も収録されている。