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2005/12/13

贋作・罪と罰/野田秀樹——(1)

イギリス留学に行ってから、野田秀樹の芝居を何故か見に行かなった。夢の遊眠社は、ほとんど公演を見ている。マネージャーの高萩さんの巧みな誘い術によるところが多いのだけれど……。
夢の遊眠社の演出と、それ以降の演出が大きく異るからだ。野田秀樹は、留学したイギリスでの体験を元にワークショップ云々……というようなことを言い出したからだ。じゃぁ、それまで、子供、子供した演出に感動してきた観客はどうなるのよ、小劇場演劇といって出てきた、夢の遊眠社/野田秀樹、第三舞台/鴻上尚史、あとボク的には第三エロチカ/川村毅……そうした連中は、演劇論を展開しないで、演劇を行い、そして10年経って何となく自分たちの演劇のスタイルをフェードアウトしてしまった。それがどんなに演劇にとってマイナスだったか。寺山修司にしろ、唐十郎にしろ、鈴木忠志にしろ、そして太田省吾にしろ自分たちの演出法は、変化、進化こそすれずっとアイデンティティとして維持してきた。踊りでもそうだ。土方巽は暗黒舞踏を抱いて死んでいったのだ。
だからどうも野田たちの動きには納得の行かないものがあった。そのことを夜想リターンズ展での対談で、カンバセーションの前田さんと話したが、でも野田はいいよ、と前田さんは、一言ボクに釘を刺した。前田さんの踊りを見る目をボクはとても信用していて、数少ない踊り見者の一人だと思っているので、その彼が良いよというなら、もう一度、考え直さないといけないなと思っていた。

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