column
蝶はあなたの
紋白蝶がふらふらと
地下鉄の中を舞っている。
乗客はみななんとなく心配げに見ている。
誰か、乱暴者が来て殺したりしないだろうかと。
うまく外に出れば良いのに
みんな目がそう思っている。
蝶は僕の靴の上に止まって動かなくなった。
昔、百軒店の
江戸時代に墓地のあった
その上に建てたマンションで
仕事をしていたことがあった
真夏の暑い日に揚羽蝶がブラインドに引っかかって
それから魔に取り憑かれる日が続いたことがあった。
もちろん魔に取り憑かれたのは僕ではなくて同僚だったが。
同僚は仕事を休んで関ヶ原の寺院に籠もってしまった。
蝶には死者の匂いがする。誰だか確かめないと…と言っていた。
僕の靴の上の蝶は
それっきり羽ばたくことを止めてしまった。
今日は、最初の真夏日。
猛暑が東京を襲っていた。
亡くなったのは
誰?
update2010/07/19





