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豊崎由美。

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自分がこれまで読んできた傾向の本と異る本を読んできた豊崎由美。さん。『正直書評。』の。がカッコ良い。姿勢が断定形。これはなかなか難しいことだ。人はそう言う。みんなそう言っているよ。自分の意見を反論されないようにして相手を苛めるそんな手法じゃない。私がこう読んだ。文句あるか。という姿勢。でもけんか腰じゃない。文学に愛がある。文字に愛がある。本に愛がある。自分が責任をもっている。だから他の人が違う見方をするのも許容する。間違っていたら謝る。

ウィキペディアの記事はちょっと重箱突きっぽい。豊崎由美が人を突くから、その豊崎はどうなのよっていう視点から書かれている。

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頭の3行でぱっと本をとらえる。引用が上手。引用は手抜きの手法だと思っていたが、ちょっとびっくり。特に否定項に入っている、渡辺淳一、石原慎太郎の抜きが巧い。これ精読しているよね。駄目をしっかり読み込むプロ意識がこれまた凄い。
豊崎の書評から透けて見えてくるのは、作家の姿勢、作家の文学の姿勢。これはガイドとしてとても役に立つ。ネタバレされたら読み難いし。

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『正直書評。』
『そんなに読んで、どうするの? --縦横無尽のブックガイド』『どれだけ読めば、気がすむの?』
豊崎さんの書評集に取上げられている、読書体験がほとんど被っていない。違う道を歩いてきたんだな。ちなみに豊崎さんは批評じゃなく、書評。差をわきまえている。だから筆も立つ。
被っていないけれど、資質は『夜想』な気がする。『クラッシュ』『異形の愛』大絶賛だし。話しているとゴシック、ヴィクトリアン小説好きそうだし…。豊崎読みを完食しようかと無謀な試みをスタートした。挫折すると思うけど…。まずは『文学少女の友』千野帽子『憑かれた鏡』ゴーリー。
もっとも『夜想』に近いところから読みだしたのだけれど、2冊とも面白い。特に豊崎さんが自書でピックアップした、『憑かれた鏡』のなかのストーカーの短編、『判事の家』が秀逸。ヴァンパイア特集の時にパスしていた。うーむ。恐るべし豊崎。

update2008/11/10