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季節外れになった桜

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季節外れになった桜の

おひがしで、二度目のお点前をいただこうとして時に
がたがたとガラス戸が鳴った。そうそう里春さんが亡くなられて…と訃報を聞かされた。

里春さんは元祇園甲部の組合長さん。少し前に国立劇場で祇園の「手打ち式」を見た。黒を引いた芸妓さんたちが柝を打ちながら入場するさまは、艶やかで凛としていた。ひと際背の高い里春さんが、柝を先導してそれはそれは姿の良い、粋なものでした。

里春さんは、井上流独特の、能がかりの踊りを得意としていた。井上流は機械的な振りと良く云われるが、その中に艶を出すのが上手なのだが、なかなか難しい。里春さんは、立役としてそれを舞っていたと思う。先代の井上八千代さんに次いで井上流では好きな踊り手だった。

昭和の初期には、里春、里千代姉妹は、連れ舞いで都踊りでも名を馳せた舞手だった。腰を悪くされて引退した里千代さんは、玉木という祇園の宿をおやりになっていた。歌舞伎を見始めた頃、玉木さんの宿を知り、たん義を知り、祇園の井上流を知り、そして京都に嵌りきっていたことがある。

造形大学の教科書『人が芸術家になるとき』ときのインタビューでも、現井上八千代さんとのお話で、僕は、里春さんに言及している。その位好きな舞手だった。

祇園ネイティブな人が減って、祇園も姿を変えきる寸前まできている。

update2008/04/25